寢息ねいき)” の例文
新字:寝息
跡に殘して出行いでゆきけり是より家内も夫々に休み座敷々々も一同に深々しん/\更渡ふけわたり聞ゆるものはいびきの聲ばかりなり然るに彼町人體の男は家内の寢息ねいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
寢息ねいきもやがて夜着よぎえりしろ花咲はなさくであらう、これが草津くさつつねよるなのである。けれどもれては何物なにものなつかしい、吹雪ふゞきよ、遠慮ゑんりよなくわたしかほでゝゆけ!
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
暫くして、餘りのまばゆさに海から眼を外らして前を見ると、つい先刻まで私と話してゐた若い警官は、布製の寢椅子に凭つたまゝ、既にこころよげな寢息ねいきを立ててゐた。
かをる寢息ねいきのひまびまや
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
飛石とびいしの上に置徐々そろ/\おりて庭口と門のとびらを開きにぐる道を補理こしらへおきて元の座敷へ歸り喜内が寢息ねいきを考ふるに喜内の運の盡にや有けん正體もなく能寢入り居るにぞ吾助は心によろこび用意の刀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
立石夫婦も知りをりふれては笑ひなどしけるを直助は面目なくかつ遺恨ゐこんに思ひ居たるに或夜立石夫婦は酒にゑひて前後も知らず寢入ねいりしを見濟みすまし其の夜丑滿うしみつ物凄ものさびしき折こそ能けれと直助は寢息ねいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)