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寐入
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ねいり
ツートよくお
寐入なさった様子で、あとは身動きもなさらず、
寂りした室内には、何の物音もなく、ただ
彼の
暖炉の明滅が
凄さを添えてるばかりでした。
母が
心の
何方に
走れりとも
知らで、
乳に
飽きれば
乳房に
顏を
寄せたるまゝ
思ふ
事なく
寐入し
兒の、
頬は
薄絹の
紅さしたるやうにて、
何事を
語らんとや
折々曲ぐる
口元の
愛らしさ
もし/\と、
二聲三聲呼んで
見たが、
目ざとい
老人も
寐入ばな、
分けて、
罪も
屈託も、
山も
町も
何にもないから、
雪の
夜に
靜まり
返つて
一層寐心の
好ささうに、
鼾も
聞えずひツそりして
居る。
母が心の
何方に走れりとも知らで、乳に
倦きれば乳房に顔を寄せたるまゝ思ふ事なく
寐入し
児の、
頬は
薄絹の
紅さしたるやうにて、何事を語らんとや、
折々曲ぐる口元の愛らしさ