奇縁きえん)” の例文
「そういえば、そうだわ。あら、変ね。ふしぎね。三度が三度なんて、なんでしょう。奇縁きえんていうのかしら。」
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ところがこんなところで、ばったりとサミユル博士と出会うとは、なんという奇縁きえんであろうか。
怪星ガン (新字新仮名) / 海野十三(著)
昨日きのふはからずも天外てんぐわい萬里ばんりわが同胞どうほうにめぐりひ、あだかてんのなせるがごと奇縁きえんにていま優美やさし春枝夫人はるえふじん可憐かれんなる日出雄少年等ひでをせうねんらおなふねおな故國ふるさとかへるとはなにたる幸福しあはせであらう。
「つきぬ奇縁きえんじゃ……おもえばふしぎな刀とわが身のめぐりあわせのう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
聞者哉きくものかな其趣そのおもむきならば汝は立派な好男子也いゝをとこなり併しながら忠兵衞妻は餘程よほど好者ものずきなりとたはふれられしかば長庵眞顏まがほにていやさ世には相縁あひえん奇縁きえんと申事も御座候と申けるは如何にも不敵々々ふて/\しき曲者なり越前守殿如何に忠兵衞長庵の申立而已のみにては胡亂うろんなり先月中旬ちうじゆんころ其方がつま富儀とみぎ長庵と密通みつつうの場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「十二の時から、信長のぶなが様の大奥に、女童めわらべとして、おつかえして、秀吉様とも、小牧こまきでお目にかかる前から存じ上げておりました。……ここでまた、先生にお目にかかるとは、ほんに奇縁きえんでございまする」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)