大腿骨だいたいこつ)” の例文
彼らは、ことに小倉は三上よりも体力が非常に劣っていたので、肩から背へかけた部分、大腿骨だいたいこつの部分などに、熱を感じて来たのであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
大腿骨だいたいこつの付根を脱臼だっきゅうして、半年は歩くこともできまい、ということであったし、他の四人も相当な傷で、みな医者の治療を必要とする状態であった。
雪の上の霜 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それからさらに引き続き発掘をしていたところが、今度は頭蓋骨の発見された所から八けんあまり隔てた場所で、左の大腿骨だいたいこつと臼歯をもう一本だけ発見したのである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
それは私の右足に相違ない……せこけた、青白い股の切り口が、薄桃色にクルクルと引っくくっている。……そのまん中から灰色の大腿骨だいたいこつ一寸いっすんばかり抜け出している。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
土偶どぐう※ なにしろ泥土でいどおとしてるべしと、車夫しやふをして、それをあらひにつてると、はからんや、それは獸骨じうこつの一大腿骨だいたいこつ關節部くわんせつぶ黒焦くろこげけてるのであつたので
その裁断は膝上およそ二寸七、八分にして、大腿骨だいたいこつおよそ三分の一より下にありしと
早稲田大学 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
シャクの最も熱心な聴手だった縮れっ毛の青年が、焚火に顔を火照ほてらせながらシャクのかたの肉を頬張ほおばった。例の長老が、にくかたき大腿骨だいたいこつを右手に、骨に付いた肉をうまそうにしゃぶった。
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
それから一ぱうせうなる横穴よこあなのシキからは、ひと大腿骨だいたいこつ指骨しこつの一小部分せうぶぶんとがで、直刀ちよくたう折片せつべんつば鐵製てつせい寶珠形ほうじゆがたすかし)脛巾金はゞきおよ朱塗しゆぬり土器どき彌生式土器やよひしきどき類似るゐじす)とうでた。