とや)” の例文
おつぎは勘次かんじないとき牝鷄めんどり消魂けたゝましくいてればぐにとやのぞいてあたゝかいたまごひとつをつて卯平うへいむしろころがしてやることもあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夜になってとやへ入るのは何もかわったことはないけれど、何だかさみしそうで可哀相だねえ、母様おっかさんと二人ばかしになったって、お前、私が居れば可いじゃあないか。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
橇には、五人ずつ、或は六人ずつとやにかたまる鶏のように防寒服の毛で寒い隙間を埋めて乗りこんだ。歩けない者は、看護卒の肩にすがり、又は、担架にのせられて運んで行かれた。
氷河 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
わがためにはうゑの名をえてこののちなほも人をむべきとやなる小窓が 二二—二四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
とりどもにとやにされて、雨露を防いでいたのであろう。
勘次かんじわざ卯平うへいせつけるやうとやいたときとりかごせて、戸口とぐち庭葢にはぶたうへに三も四いたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ええ夢中でね、駆けつけたのは裏口にあるその軍鶏しゃもとやなんですよ。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そつとけて這入はひつてると、自分じぶんうちながらおつぎはひやりとした。とやにはとりくらなか凝然ぢつとしてながらくゝうとほそながめうこゑした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)