國主こくしゆ)” の例文
新字:国主
ころ近國きんごく知事ちじおもひものりました……めかけとこそへ、情深なさけぶかく、やさしいのを、いにしへ國主こくしゆ貴婦人きふじん簾中れんちうのやうにたゝへられたのがにしおふなか河内かはち山裾やますそなる虎杖いたどりさと
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つけ晝夜ちうやとなく駈廻かけまははたらく程に夫婦は又なき者といつくしみける扨も此餠屋このもちやと云は國主こくしゆ細川家の御買物方の御用達ようたしにて御城下にかくれもなき加納屋かなふや利兵衞とて巨萬きよまんの身代なる大家に數年來實體じつていに奉公を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
てんいまだくらし。東方とうはう臥龍山ぐわりうざんいたゞきすこしくしらみて、旭日きよくじつ一帶いつたいこうてうせり。昧爽まいさうきよく、しんみて、街衢がいく縱横じうわう地平線ちへいせんみな眼眸がんぼううちにあり。しかして國主こくしゆ掌中しやうちうたみ十萬じふまんいまはたなにをなしつゝあるか。
鉄槌の音 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)