あい)” の例文
これを漢字に当てめると『あい』ともなれば『あい』ともなる。『あい』ともなれば『あい』ともなる。そうかと思うと『あい』ともなる。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まわりにいた諸洞しょどうの蛮将たちは、何か口々に騒いで、孟獲を抱きとめ、董荼奴のために、あいを乞うことしきりであった。だが
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この時にあたり徳川政府は伏見ふしみの一敗た戦うの意なく、ひたすらあいうのみにして人心すで瓦解がかいし、その勝算なきはもとより明白なるところなれども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
事はわたくしのまさに引かむとしてゐる茶山の書牘中にある。神辺では茶山が明月の下に詩を賦してあいを鳴らした。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いま一にん忍々しのびしのび音信おとずるる玉司子爵夫人竜子であるが、姫は一夜、墓前において、ゆくりなく三人の学士にあった時、あいを請うもののごとく、その自分がここにもうずることは
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
於是これにおいてあをくなりておほいおそれ、ひとしくにえそなへて、びやうまゐつて、つみしやし、あいふ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なおその足をはって抵抗の状をなすの常なるに、二百七十年の大政府が二、三強藩の兵力に対してごう敵対てきたいの意なく、ただ一向いっこうこうあいうてまずとは、古今世界中に未だその例を見ずとて
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
意気地も棄ててかえって我にあいを請い、一片の同情を求むるのである。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)