命日めいにち)” の例文
そいでね、命日めいにちに、ぼくがまた薬屋からうた時計を借りてきて、やぶの中で鳴らして、アキコにきかしてやったよ。やぶの中で鳴らすと、すずしいような声だよ
うた時計 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あるいは親の命日めいにち、あるいは自分になにか特別の意味のある日、退しりぞいてははたして青年時代の理想に近づきつつありや、あるいは逆戻ぎゃくもどりせぬかと深くかえりみるのである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
が、おなつきおな命日めいにちは、つきれても、附近ふきんまちは、よひからぢるさうです、眞白まつしろな十七にん縱横じうわうまちとほるからだとひます——あとこれきました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いふおれには少しもわからぬ繰言くりごと然乍さりながら弟十兵衞の女房お安も拙者の方へ來て居たが思出せば七年あと不※ふと家出いへでして歸らぬゆゑ如何なしたる事ならんと思ひ出た日を命日めいにちに佛事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母はもちろん、秀吉の心を知っているので、これも彼の前では、語ることなく、ただ忌日きにち命日めいにちには、そっとただ独りで、持仏堂には、花をあげて、坐るぐらいなものだった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きんさんは、お仏壇ぶつだん親方おやかた写真しゃしんまつって、命日めいにちには、かならず燈火あかりげておがんだのです。
春風の吹く町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「怒らないとも、俺は親の命日めいにちには怒らないことにしてゐるんだ」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
ペテロの命日めいにちは、十月四日でした。その日になると、毎年、村の人たちは仕事をやめて、教会にいったり、聖書せいしょを読んだりするのでした。その日を、ペテロの日といいました。
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
あゝ、命日めいにちは十ぐわつ三十にち、……その十四五日前にちまへであつたとおもふ。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)