午飯ひるはん)” の例文
零時半の開門の時間まで横町よこちやうの角の店前テラス午飯ひるはんを取つて待つて居ると、見物人が自動車や馬車で次第に髑髏洞カタコンブの門前にあつまつて来た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
母と二人、午飯ひるはんを済まして、一時も過ぎ、少しく待ちあぐんで、心疲れのして来た時、何とも云えぬ悲惨な叫声さけびごえ。どっと一度に、大勢の人の凱歌がいかを上げる声。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
たゞかたから脊筋せすぢけて全體ぜんたい重苦おもくるしいやうかんじがあたらしくくははつた。御米およねなんでもせいけなくてはどくだといふかんがへから、一人ひとりきておそ午飯ひるはんかるべた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
仕方なしに正午過ひるすぎまで待って居りまして、午飯ひるはんたべるとたちまちに空が晴れて来ましたから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ただ肩から背筋せすじへ掛けて、全体に重苦しいような感じが新らしく加わった。御米は何でも精をつけなくては毒だという考から、一人で起きて遅い午飯ひるはんを軽く食べた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と是から午飯ひるの支度を致して、午飯ひるはんべ終り、お定が台所で片附け物をして居ります処へ入って来ましたのは、茶屋町に居りますおぬいという仕立物をする人で、くは出来ないが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちやましてゐるうちにひるになつたので、二人ふたり食事しよくじはじめた。小六ころくうつつてからこの四五日しごんち御米およね宗助そうすけのゐない午飯ひるはんを、何時いつ小六ころく差向さしむかひべることになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
茶の間を済ましているうちにひるになったので、二人は食事を始めた。小六が引き移ってからこの四五日しごんち、御米は宗助そうすけのいない午飯ひるはんを、いつも小六と差向さしむかいで食べる事になった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)