勝栗かちぐり)” の例文
福包み(かや勝栗かちぐりなどを紙に包んで水引みずひきを掛けて包んだもの、延命袋えんめいぶくろのようなもの)などを附けてかど飾りにしたものです。
と、出陣の古式にならって、勝栗かちぐりやらのしこんぶなどを良人に供え、つとめてホホ笑みを持とうとしていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雑煮の膳には榧実かやのみ勝栗かちぐり小殿原ことのばらを盛合わせた土器かわらけの皿をつけるという旧い習慣を近年まで守って来た。
新年雑俎 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
と初さんが、勝栗かちぐりのような親指を、カンテラの孔の中へ突込つっこんだ。うまい具合にはまる。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のあたりにすまふなるだい/\長者ちやうじや吉例きちれいよろ昆布こんぶ狩衣かりぎぬに、小殿原ことのばら太刀たち佩反はきそらし、七草なゝくささと若菜わかなむとて、讓葉ゆづりはつたるが、郎等らうどう勝栗かちぐりんでいはく、あれに袖形そでかたうらなぎさに、むらさき女性によしやうそ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、大膳が、三宝さんぼうの上の勝栗かちぐりをつまみながら、伊賀の顔を覗くと
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
角の乾物屋の勝栗かちぐり
だが、今夜の若者は皆つつましかった。ほんのり色に出る程度に、静かな杯を交している。各〻の膳部には、勝栗かちぐり昆布こんぶのほかに、と鳥を浮かした吸物椀すいものわんが乗っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かやや、勝栗かちぐり蜜柑みかん柑子こうじたちばな
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勝栗かちぐりア神田の……
秀吉はもったいないような顔をして、しかし、祝酒ならよかろうと、小姓に銚子ちょうしを命じ、三宝に盛って出された昆布こんぶ勝栗かちぐり美濃みの干柿ほしがきなどのうちから、柿一つ取って自分も喰べ、恵瓊にも
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勝栗かちぐりやら、昆布こんぶやら、折敷おしきにはめでたいものが盛ってあった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)