前檣ぜんしやう)” の例文
途中関釜くわんふ連絡船に乗ると、前檣ぜんしやうには日の丸の旗をひらひら掲げて呉れる。しもせきの山陽ホテルで、記者団の包囲を受けると、対話五分間で副官が撃退してくれる。
つゞいて一點いつてんまた一點いつてん都合つがふ七隻しちせき奇怪きくわいなるふね前檣ぜんしやうたか球燈きゆうとうかゝげて、長蛇ちやうだれつをなしてあらはれてた。
と忽ち、その前檣ぜんしやうにさら/\と上がつたのはドイツの鉄十字! あゝ、つひに恐しい海の上のおほかみ、「ウルフ号」は現れた。ひつじの皮を着た狼とは、まさしくこのことである。
怪艦ウルフ号 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
甲板かんぱんちて微塵みじんくだけた物音ものおとのしたので、わたくしいそ振返ふりかへつてると、其處そこではいましも、二三の水夫すゐふ滑車くわつしやをもつて前檣ぜんしやうたかかゝげんとした一個いつこ白色燈はくしよくとう——それはふね航海中かうかいちゆう
わたくし一心いつしん見詰みつめてあひだに、右舷うげん緑燈りよくとう左舷さげん紅燈こうとう甲板かんぱんより二十しやく以上いじやうたか前檣ぜんしやう閃々せん/\たる白色燈はくしよくとうかゝげたる一隻いつさうふねは、印度洋インドやう闇黒やみふてだん/″\と接近せつきんしてた。