すゞ)” の例文
その翌朝早く姉妹きやうだいは身仕度し、子供等にも単衣ひとへを着更へさせ、婆やに留守を頼んで置いて、すゞしいうちに家を出た。長ちやんは近道をよく知つて居てズン/\先へ歩いて行く。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
試みんと口には云しが汗のみ流れて足は重し平塚村といふに小高き森ありてよき松の樹多し四方晴れて風すゞしきに此の丘にのぼれば雌松雄松がひとつになりし相生あひおひあり珍しき事かなと馬を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
其處そこには毛蟲けむし淺猿あさましい損害そんがいあるひるにしても、しと/\としば/\こずゑあめそらあをさをうつしたかとおもふやうに力強ちからづよふかいみどり地上ちじやうおほうてさわやかなすゞしいかげつくるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
Nは、縁側の籐椅子に凭つて、凝つと婦人らしい微笑を浮べてゐた。真ツ白な、露はな胸にすゞしさうな首飾りを滝は、見た。ブラシをあてたNの睫毛が、濡れてゐるやうな艶をふくんで見えた。
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
すゞしき風に吹き亂れ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
片影すゞしわれは今
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)