其許そのもと)” の例文
かたぶ其許そのもと何時いつ江戸へ參られしやととふに彦三郎は今朝こんてう福井町へちやくすぐに承まはりたゞし只今爰許こゝもとへ參りしと申ゆゑ彌々いよ/\合點行ず段々樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三年跡其許そのもとを妻女に持ってから後は其許の孝行と貞節にじて、何卒なにとぞ悪事をくと心掛けるものゝ、同類も追々に殖え何分にも足を洗う事叶わず
そうすると英吉が、かねて心得たりの態度で、媒酌人は勿論、しかるべき人をと云ったのが、其許そのもとごときに勤まるものかと、かろんじいやしめたように聞えて
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其許そのもとの母死してより既に十年余日、其間再三にわたって後婦を勧むる者有之候えど、父は亡き妻のこと忘れ難く其許の成人をのみ希望に固く節操を守り続け候。
(新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ロレ ほい、其許そのもとか! さらばはうが、あしこのあの炬火たいまつは、ありゃなんでおじゃる、蛆蟲うじむし髑髏どくろむなしうてらすあのひかりは? かうたところ、カペル廟舍たまやまへぢゃが。
「サ! いよいよ其許そのもとの出幕じゃ。約束どおり——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「まず、其許そのもとから」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
店の若い者ひろひ取り何處どこへか隱せしを我等彼所かしこにて能く見屆けたり其品は正しく其許そのもとの財布ならんれ共今の如く其許おまへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(どうだ、喜多八きだはち。)と行きたいが、其許そのもとは年上で、ちとそりが合わぬ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
文「その大隅明と申すのは其許そのもとの名か」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
物語ものがたむかし其許そのもとに金子を用立し事も有により昔を忘れ給はずは斯の如く難儀せし間少しの合力がふりよくあづかたくことば
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さらば、其許そのもとは目をねむるだ。」
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)