光輝こうき)” の例文
今日世界における二つの大乗仏教国が互いに相知り相まじわって世界に真実仏教の光輝こうき発揚はつようするの時機はまさしく来ったのであります。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こういう事も元より黒田官兵衛の才覚で、秀吉の中国入りを光輝こうきあらしめようとする彼の誠実にほかならない。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、日本国民は、建国二千六百年の、光輝こうきある国史こくしの上に、これはまた決して書きたくはない文句を、血と涙と泥をねあわせて、しるさねばならなかった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
諸君、もう一度、君達の胸のバッジをみたまえ。光輝こうきある日の丸の下に、書かれた Japanese Delegation の文字は、伊達だてでは、ねエんだろ。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
人間は、一度は光輝こうきな世界を有していたことがあったのをあわれむべくもみずから知らない不明なやからです。
『小さな草と太陽』序 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青く黄色く燃える眼底の妖火ようかは、彼が激すれば激するほど、その光輝こうきを増して行くように思われた。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
其傍に光輝こうき燦爛さんらんたるものあるをしものありと、此等の迷霧めいむはらさしめんとのこころざしは一行の胸中に勃然ぼつぜんたり、此挙このきよや数年前より県庁内けんちやうないに於ておこなはんとのありしもつね其機そのきを得ず
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
従って生死界中にあって最も意味の深い、最も第一義なる問題はことごとく其光輝こうきを失ってくる。殺されても怖くなくなる。金を貰っても難有ありがたくなくなる。はずかしめられても恥とは思わなくなる。
高浜虚子著『鶏頭』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
光輝こうきあるわが金星音楽団がきみ一人のために悪評をとるようなことでは、みんなへもまったく気の毒だからな。では今日は練習はここまで、休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれたまえ。
セロ弾きのゴーシュ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まさに、小牧以来、信雄を秀吉にさらわれてからの徳川家は、逆境へ向っていた。盛運とみに大坂の光輝こうきに奪われ、いわゆる“落ち目の陣営”のかんあるを否み得ない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
愛宕山あたごやま山顛さんてんには、闇がいよいよ濃くなって来た。月のない空には、三つ四つの星が、高い夜の空に、ドンヨリした光輝こうきを放っていた。やや冷え冷えとする、風のない夜だった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
仏日ぶつじつ光輝こうきは至らぬくまなく宇宙に遍満へんまんして居りますから、いずれの世界に行っても修行の出来ぬ道場はない、日本も我が修行の道場であると観ずれば別段苦しむにも及ばないとあきら
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それは玉村商店の番頭が欧洲の宝石市場で手に入れた、古風なロゼット切りの十数カラットのもので、福田氏はその由緒ゆかりありげな光輝こうきれて、兄の玉村氏から原価で譲り受けた品であった。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
然るに今日は既にビジテリアン同情派のかた結束けっそくを見、その光輝こうきある八面体の結晶けっしょうとも云うべきビジテリアン大祭を、この清澄せいちょうなるニュウファウンドランド島、九月の気圏きけんの底に於て析出せきしゅつした。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
皆さんのお心委こころまかせとし、いまや太平洋を征服し、東洋民族の盟主めいしゅとして仰がれることになりました新日本の光輝こうきある黎明れいめいを迎えるに当り、そのとうとき犠牲となったわが戦士と不幸な市民たちをとむら
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)