僞物にせもの)” の例文
新字:偽物
「ところで、あの二人の女の何方が眞物ほんものかわかれば、自然主人を毒害した下手人もわかるだらう、——お前は何方が僞物にせものだと思ふ?」
「あのぢゞい、中々なか/\ずるやつですよ。華山くわざん僞物にせものつて押付おつつけやうとしやがるから、いましかつけつたんです」とした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぬいながむるに是も亦違もなき天下三品さんぴんの短刀なりと拜見しをはりて大膳にもどし成程御證據の二品は慥なれ共天一坊殿に於ては僞物にせものに相違なしといふ此時このとき天忠席を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僞物にせものを憎む自分の性質は、かかる際どうしても本間氏に對して好感を持つ事が出來なかつた。
ほんとうにふるいものか、僞物にせものであるかゞわかるのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
もう一人は下女のお辰。——良い年増ですよ。——この女は道具屋の娘で、親父の仁兵衞は僞物にせものの道具をあつかつてお手當になり、母親はそれを
切害せし證據假初かりそめにも將軍家の御落胤に有べからざる凶相きようさうなり僞物にせものと申せしがよもあやまりでござるかと席をたゝいて申ける天一坊始め皆々口をとぢ茫然ばうぜんたりしが大膳こらへ兼御墨付おすみつきと御短刀たんたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
娘が又後生氣を出して、元の持主に返さうとするのは解り切つて居るから、わざと僞物にせものの御墨附を拵へて娘につかましたのだ。
始め皆々着座なす時に常樂院天忠和尚をしやう進出越前守殿には只今上に對し賣主坊主僞物にせものなりとの過言を出さるゝは何故なるぞ大坂おほさか京都及び老中の役宅に於て將軍しやうぐんの落胤に相違なしと確認みきわめの附しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
手代の榮吉に渡し、榮吉から支配人に渡すやうに仕向けた。尤も眞物ほんものの遺言状を拔いて、用箪笥には寫しの僞物にせもの
併し、それもほんの暫らく、女が子供にたくして返した御墨附を受取つた赤井左門、手を清めて改めると、御墨附に似せてはあるが、眞赤な僞物にせものの紙片だつたのです。
「傳馬は此方で仕立てた僞物にせものだ、仲間は一人殘らず生捕られたぞ。神妙にお繩を頂戴せい」
「あつしの眞物ほんものの髷はたぼの中へ突つ込んで、叔母さんからかつらの古いのを貰つて、附け髷を拵へて頭の上へ載つけて行きましたよ、——さすがに曲者も僞物にせものの髷とは氣が付かなかつた」
「いや、吃驚するのはもつともだが、——安心して下さい。この遺書は眞赤な僞物にせものだ」
あの道具は大金を出して買つたらしいが、氣の毒なことに皆んな僞物にせものだ。それと解つて主人の重兵衞は腹を立てて打ち割つたのさ。賣つた人間へ突き戻すだけでは胸が治らなかつたんだ。
「これはいけない。小判はまぎれもなく上質の慶長小判だが、極印が僞物にせものだ」
だが、しかしこの皆吉の打明け話は大變なことでした。曲者の奪つた夜光石は、唯のギヤマンの僞物にせものとわかると、事態はすつかり變り、庄司三郎兵衞も、一應は愁眉しうびを開くことになるわけです。
岡つ引には十手の道があると言つたぢやないか、俺はその晩、毛利と淺野のお屋敷に驅け込み、かねて顏見知りの御用人を呼出して、高力左近樣の國入は、眞つ赤な僞物にせものの蔭武者だから、下手に手を