さぶら)” の例文
「はい、引渡しましょう。秋や定。」と急込せきこむにぞ、側にさぶらいける侍女こしもとにん、ばらばらと立懸くるを、遮って冷笑あざわら
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うかがへば折節本陣よりさぶらひ一人出來りぬればすゝみ寄て天一坊樣には明日は御逗留ごとうりうなるや又は御發駕ごはつがに相成やと問けるに彼の侍ひ答て天一坊樣には明日は當所たうしよに御逗留の積なりとぞ答へたりこれは伊賀亮が兼てのたくみにて若も酒井家より明日の出立しゆつたつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それは、それは愛々しい、仇気あどけない微笑ほほえみであったけれども、この時の教頭には、素直に言う事をいて、御前おんまえさぶらわぬだけに、人の悪い、くみし易からざるものがあるように思われた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
心得こゝろえたか、とかたらせたまへば、羅漢らかん末席まつせきさぶらひて、悟顏さとりがほ周梨槃特しゆりはんどくこのもしげなる目色めつきにて、わがほとけ、わが佛殿ほとけどの道人だうじん問答もんだふより、ふすま男女なんによ睦言むつごと、もそつとおきなされとふ。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)