余暇よか)” の例文
旧字:餘暇
何故と云へば予は従来、公務の余暇よかもつて創作に従事し得る——或は創作の余暇を以て公務に従事し得る恩典に浴してゐたからである。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ですから、この事件が警察の手をはなれてからも、わたしは余暇よかを利用して、もっと深くさぐってみようと決心しました。
妻に失恋した男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なんじの熱心にでて以後はわらわが教えて取らせん、汝余暇よかあらば常に妾を師と頼みて稽古を励むべしと云い
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
第四、上等の士族は衣食にとぼしからざるを以て文武の芸を学ぶに余暇よかあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
牧之ぼくし老人は越後ゑちご聞人ぶんじんなり。かつて貞介朴実ていかいぼくじつもつてきこえ、しば/\県監けんかん褒賞はうしやうはいして氏の国称こくしようゆるさる。生計せいけい余暇よか風雅ふうがを以四方にまじはる。余が亡兄ぼうけい醒斎せいさい京伝の別号をう鴻書こうしよともなりしゆゑ、またこれぐ。
悉皆すっかりで五十五時間さ。あゝ、だある。余暇よか著述ちょじゅつをやっているよ」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
牧之ぼくし老人は越後ゑちご聞人ぶんじんなり。かつて貞介朴実ていかいぼくじつもつてきこえ、しば/\県監けんかん褒賞はうしやうはいして氏の国称こくしようゆるさる。生計せいけい余暇よか風雅ふうがを以四方にまじはる。余が亡兄ぼうけい醒斎せいさい(京伝の別号)をう鴻書こうしよともなりしゆゑ、またこれぐ。
しかも佐助は春琴の相手をする余暇よかいて多くの子女を教えていた当時春琴は一室にめてのみ暮らすようになり佐助に琴台と云う号を与えて門弟の稽古を全部引き継がせ
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何分激しい業務の余暇よか睡眠すいみん時間をぬすんでは稽古するのであるから次第に寝不足がたまって来て暖い所だとつい居睡いねむりがおそって来るので、秋の末頃から夜な夜なそっと物干台ものほしだいに出て弾いた。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)