何程いかほど)” の例文
何程いかほどばかりで是は御譲りに成る御積りなんですか。』と亭主は丑松の顔を眺めて、さも持余したやうに笑つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
全く四肢であるき万事獣とかわらず、煮た物を一切食わず、生肉は何程いかほども啖う、その両脚を直にするため数月間土人用の寝牀に縛り付けて後ようやく直立するに及べり
へ見せれば何程いかほどでも二つ返事で金子を出そうけれども、名高いものゆえパッと致すと宜くないから、作銘の処は云わないようにと言付けて遣ったために、お前の方へ手数てかずを懸け
禄は何程いかほどであったか、七、八百石位でもあったか内証豊かな旗下であった。
「それはまあ何より有難いことで。で何程いかほどに売れましたかな?」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
祈願所きぐわんじよと御定め一ヶ年米三百ぺうづつ永代えいだい寄附きふある樣に我々取計とりはからひ申べし然すれば永く社頭のほまれにも相成候事なり精々せい/″\はたらき下されと事十分なるたのみの言葉ことばに肥前の申樣は御入用の金子は何程いかほどぞんせねど拙者せつしやに於ては三百兩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
斯様なよこしま非道のことに相成りましたが、向後こうごすみやかに善心に立返りますから、幾重にも御憐愍ごれんみんをもちましてお見遁みのがしを願います、いやしくも侍たるものが、何程いかほど零落したとて縄目にかゝりましては
何程いかほどのお値打ちがございましょうな?」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つぶし是は滅法界めつぱふかいに重き御品なり先生此御杖このおつゑ何程いかほど貫目おもみ候やら私し共には勿々なか/\持上らずと云ければ後藤は打笑ひいな多寡たくわの知たる鐵の延棒のべほう某しがつゑの代りについ歩行あるくしな目方は十二三貫目も有べし途中にて惡漢わるものなどに出會いであひし時には切よりも此棒にて打偃うちのめすが宜しと云つゝ片手にて是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御渡しなさるゝに町奉行の公用人のみ御渡し成れぬは御身分でもちがひ候やと言ければ平石は町奉行の公用人とて別段べつだん身分みぶんは違はず併しながら赤川大膳殿には何程いかほどの御身分にて帶劔のまゝお目に懸れぬや又此處は天一坊樣の御座ござ近ければ帶劔のならざるやまた大膳殿には御座のちかくより外へは御出席なされぬや拙者は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)