低聲こごゑ)” の例文
新字:低声
「私のものは、ほんたうに恥かしい程、くしや/\だわ。」とヘレンは、低聲こごゑで囁いた。「私、ちやんとしようと思ふのだけれど忘れてしまつたのよ。」
娘共は流石に、中には入りかねて、三四人店先に腰掛けてゐたが、其家の總領娘のお八重といふのが、座敷から時々出て來て、源助さんの話を低聲こごゑに取次した。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「おつたは本當ほんたうしうとくしなかつたさうだな、自分等じぶんらはうあんへは砂糖さたうれてもしうとはうへは砂糖さたうれなかつたなんてしばらまへいたつけが」内儀かみさんはひとり低聲こごゑにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あのね、母樣おつかさん。」と、むすめがあたりをねたていで、すこあまえるやうに低聲こごゑつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「見つかり次第、何時でも引き越せるやうにと思つて……」と微かな低聲こごゑで怖々言つて、蒼ざめた瓜實顏をあげて哀願するやうな眼付を彼に向け、そして片付けてゐたトランクの蓋をぱたりと蔽うた。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
低聲こごゑになつて、『ふうが惡いよお前は……。』
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
低聲こごゑで言つて
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
こゝおいて、いろへて、手代てだいむかひ、一倍いちばい低聲こごゑ
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きはめての低聲こごゑ
姉妹 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
しろほゝくちせつゝ、ごく低聲こごゑ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)