ばん)” の例文
中村、藤沢両君の話にると、十七日に、主治医のばん鎌吉さんが、赤彦君の黄疸わうだんの一時的のものでないことの暗指あんじを与へたさうである。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
内々にてばん建部たてべの兩人へ告知らせければ伴建部の兩人も甚だおどろき此儀一日も打捨置難うちすておきがたし御兄弟諸倶もろともに主税之助樣の計略にかゝり御命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ばん氏と告ぐ。然るに予は先年伴鐵太郎ばんてつたろうなる者を知れり。故に伴鐵太郎なる者を知るやと問うたり。然るに伴鐵太郎の二男なりと。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
厩方のさむらい矢代やしろ勝介、ばん太郎左衛門兄弟、村田吉五などはそこを去って、信長の姿の見えた御殿の階下に立ち、ここを最後の奉公場所としてみな討死の枕をならべた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶坊主世外せがいめに厶ります。御老臣ばん様が、殿に言上ごんじょうせいとのことで厶りました。
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
かく申すははばかりながら、若年のころより弓術に秀で、なかんずく、大和やまと流の笠懸蟇目かさがけひきめばん流のくろろともうす水矢みずやをよくいたしますなれど、うらぶれはてたる末なれば、これを世にだすよすがもなく
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
相談さうだんして居る中大岡殿はばんすけ十郎建部郷右衞門の兩人より委細の事故聞糺きゝたゞされ吟味の當日たうじつまで主税之助閉門へいもんおほせ付られしにつき主税之助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
廿二日朝、土屋君は僕をばんさんのところに連れて行つて呉れた。僕は初対面の挨拶あいさつをし、初診以来熱心の治療に対して謝した。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
其方儀先代せんだい嘉川平助におんも有之り候由にて藤五郎藤三郎建部たてべ郷右衞門ばんすけ十郎右四人かくまひ候だん深切しんせつ致方いたしかたに候得共えども身分不相應さうおうなる儀につき以後法外之なき樣心掛べし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕は同人の重だつた人々に赤彦君の疾病しつぺいの経過の大体を話し、一月廿一日にばんさんから胃癌の宣告を受けたこと。二月二日に胃腸病院の神保孝太郎じんぼかうたらう博士の診察を受けたこと。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)