二十重はたえ)” の例文
寄手よせて十重とえ二十重はたえも、かろがろしくなく、城兵の疲れを待つふうだが、もし、みかどの脱島が成功したとすれば、関東の令は、この千早一城に
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
櫓の前には鞍を置いた馬が十重とえ二十重はたえにつながれ、城では絶えず太鼓を打って士気を鼓舞していた。
それ十重とえ二十重はたえかさなりって絵巻物えまきものをくりひろげているところは、まった素晴すばらしいながめで、ツイうっとりととれて、ときつのもわすれてしまくらいでございます。
今得三は国のあだ、城を二十重はたえに囲まれたれば、責殺されんそれまでも、家は出でずに守るという。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天上のあまがわがすっかり凍って、その凍った流れが滝になって、この世界の地上のいちばん高いところから、どうっと氷の大洪水が地上いっぱいに十重とえ二十重はたえも取りまいて、人畜は言わでものこと
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
軒下のながれも、その屋根を圧して果しなく十重とえ二十重はたえに高くち、はるかつらなる雪の山脈も、旅籠はたご炬燵こたつも、かまも、釜の下なる火も、はては虎杖の家、お米さんの薄色の袖、紫陽花あじさい
雪霊続記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
綿をつかねてでて、末広がりに天井へ、白布を開いてのぼる、湧いてはのぼり、湧いてはのぼって、十重とえ二十重はたえにかさなりつつ、生温いしずくとなって、人のはだえをこれぞ蒸風呂。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)