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したて
ふりがな文庫
“
下手
(
したて
)” の例文
中納言様と
下手
(
したて
)
にばっかり出て来たが、あいつらは、岩倉三位、岩倉三位と、大きそうに出やがって練込んで行くが、結局、
帰
(
き
)
するところは一つで
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
まだ厄を越したばかり、若くて美しくて、気立てのいいお静は、気の毒なほど
下手
(
したて
)
に出て、綺麗で年上で、何となく押の強いお楽を立ててやったのです。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
上手
(
うわて
)
がどうしたの
下手
(
したて
)
がどうしたの足癖がどうしたのと、何の事やらこの世の大事の
如
(
ごと
)
く騒いで汗も
拭
(
ふ
)
かず
矢鱈
(
やたら
)
にもみ合って、
稼業
(
かぎょう
)
も忘れ、家へ帰ると
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
今度は
下手
(
したて
)
に出て光子さんの機嫌取りながら、「あの奥様よっぽど怒ってたはずやのんにどんなこというて丸めたのんか、後学のために聞かして欲しい」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これは商売品ですから、ただ差上げる訳には行きませんと
下手
(
したて
)
に出ると、君の所は焼けなかったじゃないかと言う見幕で、とても安心して商売も出来ません
震災後記
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
▼ もっと見る
「ふん」と要平は唾を吐いた、「城代の
伜
(
せがれ
)
だから
下手
(
したて
)
に出てやったが、おまえさん本当におれとやる気なのか」
女は同じ物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
留吉 (あくまで
下手
(
したて
)
に、話題を変へる)なにかね、なんか製材所とかの事で、今ゴタゴタしてゐる——?
地熱
(新字旧仮名)
/
三好十郎
(著)
そうかといって
下手
(
したて
)
に出て御機嫌を取ったり、ヨタを飛ばして煙に巻いたりするような小細工もしない。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「だから、立つ腹もこっちが納めて、この通り
下手
(
したて
)
からおわびを申しているんでごぜえます」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
女の人は今まで社会的に大変
下手
(
したて
)
に出るよう馴らされて来ていますから、お金は足りない。
美しく豊な生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ものやはらかいしかし皮肉な江戸つ子で、
下手
(
したて
)
には殊に熱心に指してくれた。この人も飛香落から指して、平手に進んだ。この頃は、自分として、一番
棋力
(
きりよく
)
の進んだときだと思ふ。
将棋
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そして父はこの息子に
下手
(
したて
)
からお世辞を使ふ態度を取つてゐた。梅麿は父がお世辞を使ふ気持を見抜いて、とぼけて悠々とお世辞を使はれてゐた。だが決して調子に乗らなかつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
ところが
笊
(
ざる
)
の域を脱しない悲しさ、置き先は多いけれど置かせ先が至って尠い。そこで
下手
(
したて
)
を養成する必要を年来感じていた。折からこの正月千吉君は関君のところへ年始に行った。
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そう
下手
(
したて
)
に出られると教えざるを得んね。第一は新嫌疑者の追跡さ。舟木——」
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
疾
(
と
)
く/\拙者と御一緒にお帰り遊ばされ候へと、
泣沈
(
なきしず
)
む娘を引立て行かむとするにぞ、一人の侍今はこれまでなりと覚悟致し候様子にて、
突
(
つ
)
と立上り、
下手
(
したて
)
に
出
(
い
)
でをれば
空々
(
そらぞら
)
しきその意見
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
首垂
(
うなだ
)
れて居る男に向って斯う叫んだのでありました、——バラされない内に、へえ左様ですかと
下手
(
したて
)
に出たらどうだい、女だからってお前さん方に舐められる様な
妾
(
あたし
)
じゃないんだよ、ねえ
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「きつとロシアだよ。」と一口に神戸をいひ消されてしまつた三ちやんは、折角の生まれ故郷に自信がもてなくなつたかして、それ以来仲間とあそぶのに、いつも
下手
(
したて
)
に出るやうになつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし玄也はなほ
下手
(
したて
)
から、殆んど泪つぽいやうな卑屈な声をして
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「ばかに今夜は
下手
(
したて
)
に出るぜ」
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「うるせえな」と男は乱暴に
遮
(
さえぎ
)
り、ふところ手を出したとみると、すばやく得石の腕を掴んだ、「
下手
(
したて
)
に出ていればいい気になりゃあがって、野郎、来るのか来ねえのか」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なされたな、ことに
上手
(
うわて
)
のものとのみ手合せをしておいでと見えて、
下手
(
したて
)
より上手へ強いお手筋じゃ。いや、頼もしうござる。ハテこの一手、これがわからぬ、いやこれはどうも
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平次は
下手
(
したて
)
に出ました、金で慢心して居る人間には、
斯
(
か
)
うする外に
術
(
て
)
はありません。
銭形平次捕物控:302 三軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かうした態度に出るまでの径路であつた——一旦
下手
(
したて
)
から説いて見て、それで行かなければ腕力に訴へる——かと思ふと、勝平に対して、懐いてゐた一時の好感は、煙のやうになくなつて
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
それをするにはまた、あまりに心臓は重り、首筋の骨は硬ばってしまっているのだ。路上の
商
(
あきな
)
いの常として、気軽るに、癪に触ることも受け流し、如才なく客の多情へ
下手
(
したて
)
につけ入って行く。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
平次はひどく
下手
(
したて
)
に、掛引無しに持ちかけました。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“下手”の意味
《名詞》
下 手(げしゅ)
手を下すこと、手をつけること、手ずからなすこと。
(出典:Wiktionary)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“下手”で始まる語句
下手人
下手糞
下手物
下手碁
下手廻
下手弓
下手者
下手謡
下手將棋
下手象戯