“颯々”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さっさつ52.6%
さつさつ22.4%
さつ/\11.8%
さっさっ5.3%
さっさ2.6%
さあさあ1.3%
さあ/\1.3%
ざわざわ1.3%
そよそよ1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は首を上げて空を仰いだ。が、鬱蒼うっそうとした松の枝にさえぎられて空は少しも見えない。頭の上では例の松風の音が颯々さっさつと聞えている。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うでをくんで背中をまるめている、あなたの緑色のスエタアのうえに、お下げにした黒髪くろかみが、颯々さつさつと、風になびき、折柄おりからの月光に、ひかっていました。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
夫の風の颯々さつ/\たる波の鞺々たう/\たる、若くは鳥の嚶々あう/\たる、伐木の丁々たる、奚ぞ詩人が因つて以て其声を擬すべき粉本ならずとせんや。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
……彼は金之助の挨拶を黙って受け、終ると黙って立っていった。颯々さっさっとした足さばきで、金之助などは覚えてもいないというようすだった。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一例をぐれば、一人ひとりの人が原書を読むそのそばで、その読む声がちゃんと耳に這入はいって、颯々さっさと写してスペルを誤ることがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
腰硝子こしがらすの障子を立てたきり、此座敷に雨戸はなかった。二つともした燭台しょくだいの百目蝋燭の火はまたたかぬが、白い障子越しに颯々さあさあと云う川瀬のおとが寒い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
店頭みせさきで見つけた眞桑瓜を買うて、天鹽川に往つて見る。可なりの大川、深くもなさゝうだが、川幅一ぱい茶色の水が颯々さあ/\と北へ流れて居る。鐵線はりがねを引張つた渡舟がある。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
艸花くさばな立樹たちきの風にまれる音の颯々ざわざわとするにつれて、しばしは人の心も騒ぎ立つとも、須臾しゅゆにして風が吹罷ふきやめば、また四辺あたり蕭然ひっそとなって、軒の下艸したぐさすだく虫ののみ独り高く聞える。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
西は松原のつづきで、松の木陰をもるる太陽の光線が白壁へ映って、ちょうど首なしの人形のようで、それが颯々そよそよ風の吹くたびに動くので、飛び回るように見えるのだ。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)