颯々さあさあ)” の例文
腰硝子こしがらすの障子を立てたきり、此座敷に雨戸はなかった。二つともした燭台しょくだいの百目蝋燭の火はまたたかぬが、白い障子越しに颯々さあさあと云う川瀬のおとが寒い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
可なりの大川、深くもなさそうだが、川幅一ぱい茶色の水が颯々さあさあと北へ流れて居る。鉄線はりがねを引張った渡舟がある。余等も渡って、少し歩いて見る。多いものはブヨばかり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
麦稈帽むぎわらぼうの書生三人、ひさし髪の女学生二人、隣室となりまに遊びに来たが、次ぎの汽車で直ぐ帰って往った。石狩川の音が颯々さあさあと響く。川向うの山腹の停車場で、鎚音つちおと高く石を割って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)