颯々さっさっ)” の例文
……彼は金之助の挨拶を黙って受け、終ると黙って立っていった。颯々さっさっとした足さばきで、金之助などは覚えてもいないというようすだった。
落ち梅記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
処へ、母屋から跫音あしおとが響いて来て、浅茅生あさぢう颯々さっさっ沓脚くつぬぎで、カタリとむと、所在紛らし、谷の上のもやながめて縁に立った、私の直ぐ背後うしろで、衣摺きぬずれが、はらりとする。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、青木が云うのに耳もかさず、颯々さっさっと歩きつづけて
街はふるさと (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
まろく拡がり、大洋わたつみうしおを取って、穂先に滝津瀬たきつせ水筋みすじの高くなり川面かわづらからそそむのが、一揉ひともみ揉んで、どうと落ちる……一方口いっぽうぐちのはけみちなれば、橋の下は颯々さっさっと瀬になって
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)