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ほうせきしょう
宝石商は、それから
幾日も
旅をしました。
山を
越え、
河を
渡り、あるときは
船に
乗り、そして、
南の
国を
指して、
旅をつづけました。
宝石商は、
夢を
見るような
気持ちがしたのです。そして、そこを
通りかかった
人に、この
町はどうなったのかといってたずねました。
ある
日のこと、ものすごい
波の
音を
後方に
聞きつつ
宝石商は、さびしい
野原を
歩いていますと、
空から
雪がちらちらと
降ってきました。
宝石商さん、あなたのお
持ちなさるひすいのように、その
海の
色は、
青くうるんでいます。また、
真珠のように、
真昼には、
日光に
輝いています。
これは、
宝石商の
店に
使われている
時分の
癖が
出たのです。そして、
心の
中で、どうかしてごまかして、
自分のものにすることはできないものかと
思っていました。
「ああ、
私たちは、ふるさとを
失ってしまった。また、どこか
世界のはてに、ふるさとを
見いだそう……。」といって、
眼鏡屋も、
手品師も、
宝石商も、
唄うたいも