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たら/\
岩を
削つて
點滴る
水は、
其の
火の
見階子に、
垂々と
雫して、
立ちながら
氷柱に
成らむ、と
冷かさの
身に
染むのみ。
何處に
家を
燒く
炎があらう。
「あ、」と
離すと、
爪を
袖口に
縋りながら、
胸毛を
倒に
仰向きかゝつた、
鸚鵡の
翼に、
垂々と
鮮血。
一寸でも
触ると、
其のまゝ、いきなり、
白い
肩を
包むで、
頬から
衣絵さんの
血を
吸ひさうである、と
思つたばかりでも、あゝ、
滴々血が
垂れる。……
結綿の
鹿の
子のやうに、
喀血する
咽喉のやうに。