“そうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
蒼然50.0%
騒然15.2%
鏘然10.6%
愴然9.1%
噪然6.1%
宗全3.0%
簇然3.0%
喪然1.5%
錚然1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから山内の森の中へ来ると、月が木間このまから蒼然そうぜんたる光をもらして一段の趣を加えていたが、母は我々より五歩いつあしばかり先を歩るいていました。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ながから細君の声で兼吉はほうきをおいて走っていく。五郎はまぐさをいっせいに乳牛にふりまく。十七、八頭の乳牛は一騒然そうぜんとして草をあらそいはむ。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その太刀が、ほとんど無意識に受けとめた、次郎の太刀の刃を打って、鏘然そうぜんとした響きと共に、またたくあいだ、火花を散らした。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「…………」愴然そうぜんたる白衣びゃくえひと、口はかたく結ばれたまま、その姿は氷のよう、その横顔は死せるようだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人心噪然そうぜんとしてたださえ物議の多い世の様、あらぬ流言蜚語りゅうげんひごたくましうする者の尾に随いて脅迫ゆすり押込おしこみ家尻切やじりきり市井しせいを横行する今日このごろ、卍の富五郎の突留めにはいっそうの力を致すようにと
赤入道(山名宗全そうぜん)なんぞは、とり分けて蔭凉の生涯失はるべしなどと、わざわざ公方くぼうに念を押しをる。それほどに憎らしいか、それほどに怖ろしいか。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
あとには依然として黒い者が簇然そうぜんうごめいている。この蠢めいているもののうちに浩さんがいる。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夜の冷気とともに身にみて感じながら、重ねてくわしいことを訊こうとする気力も抜けてしまい、胸の中が空洞うつろになったような心持で、足の踏み度も覚えず、そのまま喪然そうぜんとして電車に乗り
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
相手は一諏訪栄三郎と侮って、一気にしてこれをほふり坤竜丸をおさめるつもり——鍔鳴りのひびきが錚然そうぜんとして月明に流れた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)