噪然そうぜん)” の例文
それは震災前後の、雑音だらけなレコードであったが、ケンプの若さと情熱は、噪然そうぜんとして粗悪な録音から湧きこぼれたものである。
人心噪然そうぜんとしてたださえ物議の多い世の様、あらぬ流言蜚語りゅうげんひごたくましうする者の尾に随いて脅迫ゆすり押込おしこみ家尻切やじりきり市井しせいを横行する今日このごろ、卍の富五郎の突留めにはいっそうの力を致すようにと
急に悪性あくしょうがこみ上げて来て、この蛮行に出でたものかも知れない——この雑然、噪然そうぜん、困惑の中に、金椎のみは別世界にいるように、いっかな夢を破られてはいないことがかえって不憫ふびんでもある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
きょうもはや宵を迎えようとする風情が噪然そうぜんとして漂っていた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)