鏘然そうぜん)” の例文
夜が明けて彼が初めて立ちあがる時「鏘然そうぜんとして声あり」シャラランとその甲冑の上を氷が滑り落ちていく、というのである。
美学入門 (新字新仮名) / 中井正一(著)
その太刀が、ほとんど無意識に受けとめた、次郎の太刀の刃を打って、鏘然そうぜんとした響きと共に、またたくあいだ、火花を散らした。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
この言葉が私の唇かられるやいなや——まるでほんとうに真鍮の楯がそのとき銀の床の上に轟然ごうぜんと落ちたかのように——はっきりした、うつろな、金属性の、鏘然そうぜんたる
まるで蛍籠ほたるかごでもブチくだいたような、青白い火花が、鏘然そうぜんとして八ぽうへ散った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎖ばかりは敷石の上に落ちて鏘然そうぜんと鳴る。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時、鏘然そうぜんと太刀音がした。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
しかし剣は一瞬の後、やはり鏘然そうぜんゆかに落ちた。彼はその剣を拾い取ると、切先きっさきを歯にくわえながら苦もなく二つに折って見せた。そうして冷笑を浮べたまま、戦いをいどむように女を見た。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)