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じやうりう
雨はしと/\と
降るのである。
上流の
雨は、うつくしき
雫を
描き、
下流は
繁吹に
成つて
散る。しと/\と
雨が
降つて
居る。
土手の
篠の
高さに
見える
蜀黍は
南風を
受けて、さし
扛げた
手の
如き
形をなしては
先から
先へと
動いて、
其の
手が
溯る
白帆を
靜かに
上流へ
押し
進めて
居る。
彼は
暫く
又凝然として
上流の
小船を
見て
居た。
彼は
氣がついた
時土手を一
散に
北へ
急いだ。
土手は
軈て
水田に
添うてうね/\と
遠く
走つて
居る。
土手の
道幅が
狹くなつた。