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じうしん
「
中根だな、
相變らず
爲樣のない
奴だ‥‥」と、
私は
銃身で
突き
上げられた
左の
頬を
抑へながら、
忌々しさに
舌打ちした。
「はつ‥‥」と、
田中はあわてて
路上を
腹這ひになつて
手を
延ばした。が、
手はなかなか
届かなかつた。
手先と
銃身とが
何度か
空間で
交錯し
合つた。
埋めて行心の正直
律儀者昔しも今も町家には
例し少なき忠義なり是皆村井長庵が
惡業の爲所にして西も東も知らぬ若者の千太郎を
欺き多くの人に難儀を掛ること
人面獸心の
曲者なり長庵が惡事を