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くわんねん
良人持たんの
觀念、
何として
夢さら/\あらんともせず、
樂みは
春秋の
園生の
花、ならば
胡蝶になりて
遊びたしと、
取とめもなきこと
言ひて
暮しぬ
が、
畢竟それもまた名人上手とかいふ風な古來の形
式主
義が當
然作り出す
型に
捉はれた
觀念と見られぬ事もない。
そのほかに
殆ど
人影を
見なかつたといつても
可い。——あんなのが「
飲ましやい。」であらうと
観念したのであつたから。
心細さは
申すまでもなかつたが、
卑怯な
様でも
修業の
積まぬ
身には、
恁云ふ
暗い
処の
方が
却つて
観念に
便が
宜い。