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くしかうがひ
厭はず
出歩行のみか
娘お
熊にも
衣類の流行物
櫛笄贅澤づくめに
着餝らせ
上野淺草隅田の
花兩國川の
夕涼み或は
芝居の
替り
目と上なき
奢を
二ツ三ツ
越中脊中肉にして
色白く
眼鼻立揃ひし美人ながら髮の毛の少し
薄きは
商賣上りの者と
見つ
然れ
共本甲の
櫛笄を
差銀の
簪に付たる
珊瑚珠等いづれも金目の物なり衣類は
藍微塵の
結城を
茲に又
駿府の
加番衆松平玄蕃頭殿の
家來に石川安五郎と云ふ
若侍士ありしが駿府二丁目の小松屋の
抱へ遊女
白妙が
許へ通ひ互ひに深くなるに付
廓の金には
迫るの習ひ後には
揚代金も
滯ほり
娼妓が
櫛笄衣類までも
無しての立引に
毎晩通ひ居たりしが
早晩二階を
商ひ未だ東西も知らぬ土地なれども
櫛笄簪の
荷を
脊負歩行に名に
負大都會なれば日本一の
貧き人もあれば
又双びなき
金滿家もありて大名も
棒手振も
押並んで
歩行を