麺麭ぱん)” の例文
麺麭ぱんに関係した経験は、切実かも知れないが、要するに劣等だよ。麺麭ぱんを離れ水を離れた贅沢な経験をしなくつちや人間の甲斐はない。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
せめては此の室の中で窓の隙から日の光の差す辺へでも坐らせて置き度いと思い、手を取って引くと、オヤ其の手に麺麭ぱんかけらを持って居る。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
而もこの一片の貴さは、ごくの貧しい者をも富ますに足るのである。われらの麺麭ぱんは白くとも黒くとも、心を安じて、これを咬み食はしめよ。
落葉 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
水煙みづけむりてました——ねえさんは三月兎ぐわつうさぎ友達ともだちとが何時いつになつてもきない麺麭ぱん分配ぶんぱいしたときに、茶碗ちやわんるのを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
波波なみ/\いださかづきを前にし、それ等の音楽を聞きながら皆呑気のんきに夜を徹する。一種の特色ある菓子麺麭ぱんや軽い幾ひんかの夜食を取る事も出来るのである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その重なるは麺麭ぱんに作る麦粉、生麦を始め一切いっさいの食物及び植物学上に知られているすべての草木の種などであった。
暗黒星 (新字新仮名) / シモン・ニューコム(著)
おくみは婆やが切つて来た麺麭ぱんを、長火鉢へ餅網をかけて焼いて、バタをつけて、座敷のテイブルの上に運んだ。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
ひとりの貧しい身装みなりをした娘が、汽車の窓のところに来て、麺麭ぱん燻肉くんにくと復活祭の卵を売ろうとしている。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
脚気は白米の中毒という説だから去年の夏は玄米と麺麭ぱんばかり食べていたら脚気が起らなかったよ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
文六 麺麭ぱん屋でございます。大正十二年の震災前までは……。
「あん麺麭ぱんはいかゞです。」
或夜 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
麺麭ぱんに似たりと思ひけるかな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……余今試験の為め、即ち麺麭ぱんの為めに、恨を呑み涙を呑んで此書を読む。岑々しんしんたるかしらを抑へて未来永劫に試験制度を呪咀する事を記憶せよ
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
翌る朝坊ちやんと三人で麺麭ぱん山羊乳ちゝとのテイブルに着いたとき、おくみは坊ちやんのためにバタのナイフを取りながら、急に容子が違つて来たやうに思ひながらかう言つた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
麺麭ぱん赤茄子あかなすのシチュー 秋付録 パン料理五十種の「第十九 パンと赤茄子あかなすのシチュー」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「あん麺麭ぱんはいかがです。」
或夜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
かた麺麭ぱんかな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
麺麭ぱんのカビネップデン 秋付録 パン料理五十種の「第四十二 パンのカビネットプデン」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「学校騒動の事ぢやないか」と代助は落付いた顔をして麺麭ぱんつて居た。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
麺麭ぱんのシャントリー 秋付録 パン料理五十種の「第四十三 パンと林檎りんごのシャントリー」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
代助は矢つ張り麺麭ぱんつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
同 豆粉まめこ麺麭ぱん 八・六〇 二七・二〇 四・四〇 五六・九〇 三・一〇 —
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)