おど)” の例文
私は秀岡の顔を見るとかっとなりました。胸の中がたぎるような昂奮に襲われて了ったのです。秀岡もおどろいていたようです。
旅客機事件 (新字新仮名) / 大庭武年(著)
そのとき車夫はいっせいに吶喊とっかんして馬をおどろかせり。馬はおびえて躍り狂いぬ。車はこれがために傾斜して、まさに乗り合いを振り落とさんとせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
世帯主しょたいぬしである彼らは、こういう女の狂態におどろきはしなかった。驟雨しゅううのようなその昂奮こうふんの通りすぎるのを待っていた。だからもう心を留めて聞いているのではなかった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
古縄ふるなはへびとしおどせば、おどされたるびつくりして片足かたあし泥田どろたへふみいれしを衆人みな/\辴然おほわらひす。此みちすべ農業のうげふ通路つうろなればいこふべき茶店ちやみせもなく、半途はんといたりて古きやしろに入りてやすらふ。
どれほど懐しく馴染ふかく且つそれ故に一層の新鮮さにおどろかされるものであったろう。
婦人と文学 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
おどろくばかり峻急なる傾斜は、天半を断絶して、上なる一端を青空の中へ繋ぎ、下なる一半を、深谷の底へと没入させている、岩石の散乱した間に、飛散した種子から生えたらしい、落葉松の稚樹わかぎ
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
古縄ふるなはへびとしおどせば、おどされたるびつくりして片足かたあし泥田どろたへふみいれしを衆人みな/\辴然おほわらひす。此みちすべ農業のうげふ通路つうろなればいこふべき茶店ちやみせもなく、半途はんといたりて古きやしろに入りてやすらふ。
かううも、ばんごと、どしんと、おどろかされて、一々いち/\びく/\してたんではれない。さあ、もつてい、なんでも、とむか顱卷はちまきをしたところで、うままへへはたれはしない。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)