まゝ)” の例文
「あては面倒な事は嫌ひや。今すぐに御膳を持つて來させるよつて、まゝ喰べたらいんどくんなれや。よろしか。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
さう思ふと、この小さな故郷の村の出来事がいかにも他愛なく、まゝごとじみてみえる。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
処から段々胸へ詰って、まゝも食べずに泣いてばかり居るから、医者どんも見放し、大切だいじの一人娘だから金えぶっ積んでも好いた男なら貰ってりてえが、ほかの者では頼まれねえが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうしたえ、まゝよ/\でもやんねえか勘次かんじさん。まゝにならぬとおはちげりや其處そこらあたりはまゝだらけだあ、過多げえむづかしいことふなえ」かね博勞ばくらうこめめしみながらいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まゝ食つて寢て、飯食つて寢て、大きくなれば和尚さまのやうになれます』
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かしこにいたり松明たいまつをあげてさしのぞき、遙下はるかしたにあるをつとにこゑかけ、いかにさむからん初夜しよやもいつかすぎつらん、もはややめてかへり玉へ、まゝもあたゝかにして酒ももとめおきたり、いざかへり玉ヘ
「一と休みしろ、よ、まゝでもへや」
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)