音曲おんぎよく)” の例文
げにも浮世うきよ音曲おんぎよく師匠ししやうもとしかるべきくわいもよほことわりいはれぬすぢならねどつらきものは義理ぎりしがらみ是非ぜひたれて此日このひ午後ひるすぎより
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
華族と法律とをこしらへる事を情慾のやうに心得てゐる国家が、何故「音曲おんぎよく」に関する法律だけは打捨うつちやぱなしにしてゐるのか理由わけが分らない。
南さんは行者久ぎやうじやきうさんと云ふ盲目めしひで名高い音曲おんぎよくの師匠の弟子の一人でした。小いうちから琴も三味線も胡弓こきゆうも上手だつたのです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
明治芸人鑑めいぢげいにんかがみ」と題して俳優音曲おんぎよく落語家の人名を等級別に書分かきわけたもの、又は、「新橋芸妓評判記しんばしげいしやひやうばんき」「東京粋書とうきやうすゐしよ」「新橋花譜しんばしくわふ」なぞ名付なづけた小冊子もある。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さがしけるに吉原のくるわ第一の妓樓ぢようろやにて京町の三浦屋に米搗こめつきの口有り一ヶ年給金三兩にて住込すみこみ日毎ひごとに米をつくを以て身の勤めとはなしにける然るに物がたき傳吉は鄭聲ていせい音曲おんぎよく洞房どうばう花燭くわしよくたのしみを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「何んとか檢校——といふと音曲おんぎよくの方か」
大門際おほもんぎわ喧嘩けんくわかひと出るもありけり、見よや女子おんな勢力いきほひと言はぬばかり、春秋はるあきしらぬ五丁町のにぎはひ、送りの提燈かんばんいま流行はやらねど、茶屋が廻女まわし雪駄せつたのおとに響き通へる歌舞音曲おんぎよく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此等これらの書籍はいづれも水野越州みづのえつしう以来久しく圧迫されてゐた江戸芸術の花が、維新の革命後、如何に目覚めざましく返咲かへりざきしたかを示すものである。芝居と音曲おんぎよくと花柳界とは江戸芸術の生命である。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
涙と汗の音曲おんぎよく4・30(夕)
貴婦人と音曲おんぎよく5・22(夕)