釣堀つりぼり)” の例文
これから釣堀つりぼりへまゐりますと、男女なんによ二人連ふたりづれゆゑ先方せんぱうでもかして小間こまとほして、しゞみのおつけ、おいも煑転につころがしで一猪口いつちよこ出ました。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「へえ、その家では釣堀つりぼりをやってるのかね。一つこいでも釣りに行くような顔をして、そのうちに訪ねて行って見るかナ」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一、二度来たことのある釣堀つりぼりや射的の前を通って、それからのろのろと池のはたの方へ出て見たが、人込みや楽隊の響きにおじけて、どこへ行って何を見ようという気もしなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あんまりないが、子供の時、小梅こうめ釣堀つりぼりふなを三びき釣った事がある。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
薜氏せつしの池という今日まで名の残る位の釣堀つりぼりさえあった位ですから、竿屋だとて沢山たくさんありましたろうに、当時持囃もてはやされた詩人の身で、自分で藪くぐりなんぞをしてまでも気に入った竿を得たがったのも
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そうざい料理れうりもごた/\するし、おんもりするところいやだし、あゝ釣堀つりぼり師匠しゝやうところかうぢやアないか。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
房吉は時々出かけてゆく、近所の釣堀つりぼりへ遊びに行っていたし、房吉の姉のお鈴は、小さい方の子供に、乳房をふくませながら、ちゃの方で、手枕をしながら、乱次だらしなく眠っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
彼処あすこ茶店ちやややうや釣堀つりぼりつたといふ事がわかつたから、こゝへてもおまへ女房にようばうとははない。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)