遭難そうなん)” の例文
汽船の名はグラフトン号で、豪州ごうしゅう航行の中途ちゅうとであった。船長ロングは、さっそく一同を本船にむかえいれ、その遭難そうなんのてんまつをきいた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
殊に官兵衛は、伊丹城中いたみじょうちゅう遭難そうなん以来、不治の隻脚せっきゃくとなっているので、君前でも、そのための横坐りはゆるされていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とりわけ斎藤実さいとうまこと高橋是清たかはしこれきよといったような、ながく国民に敬愛されていた人たちの遭難そうなん詳報しょうほうは、田川大作のような右翼的うよくてき傾向けいこうの強い塾生たちにも
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
博士にきかれて、やむなく道彦は、ヤヨイ号の遭難そうなんのことや、氷河期の怪人があらわれたことなどを話した。
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
貝塚發掘かひづかはつくつために、種々しゆ/″\遭難そうなんかさねるけれど、此時このときごと惡難あくなんおそらく前後ぜんごからうである。
川はここへ来て急カーヴを描きつつ巨大ないわおの間へ白泡を噴いてたぎり落ちる。さっき大谷家で聞いたのに、毎年いかだがこの岩につかって遭難そうなんすることが珍しくないと云う。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
遭難そうなんしてから二十日目のことで、見張台の上の人間どもは、かすかにいきが通っているというだけの、死の一歩手前の状態じょうたいにあったので、「おか」という言葉がなにを意味するのか
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ぎゃくの海流と、風とを乗りきって、二千カイリにちかい航海のできる小帆船が、遭難そうなん船といえますか。それにまた、沿岸定期の蒸気船を、ホノルル入港まえに、追いこしたではありませんか。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
はたして翌る年の暮近いある夜、登勢は坂本遭難そうなんの噂を聴いた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
SOSの無電符号むでんふごう一つ、うつひまがなかった。だからモンパパ号の遭難そうなんに気がついた第三者はいなかった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
富士男は毎日毎夜、諸学校、諸倶楽部しょクラブ等の依頼におうじて、遭難そうなんてんまつの講演にいそがしかった。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
佐助の語るところは彼の主観の説明を出でずどこまで客観と一致するかは疑問だけれども余事はとにかく春琴の技芸は彼女の遭難そうなんを一転機として顕著けんちょな進境を示したのではあるまいか。
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
と、遭難そうなん当時の一と頃、世上にかまびすしく聞えた種々な取沙汰を今更のように思い出して、その流説るせつにまどわされて、きょうまで官兵衛に抱いていた誤った認識をそれぞれ心のうちで急に是正ぜせいしていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、まあそうだと見なければなりますまい。統制派と見られていた教育総監そうかんの渡辺大将が遭難そうなんされたのですから……。しかし、叛乱がいずれの側からおこされたかということは、今はもう問題ではありますまい。罪は軍全体にありますよ。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
あとで分った話によると、例のモウリ博士は月世界探検に行ったまま、遭難そうなんして帰れなくなっているということだ。こんどの探検隊が、きっと博士を救い出すであろう。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と婦人は自分の遭難そうなんはわすれて、一同の忍耐にんたいと勇気とに、涙を流して感嘆かんたんした。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
てる女が明治七年に始めて春琴の家へ来た時春琴は既に四十六歳遭難そうなんの後九年の歳月を経もう相当の老婦人であった顔は仔細しさいがあって人には見せないまた見てはならぬと聞かされていたが
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
事実じじつだ。伊那丸いなまる遭難そうなんはまことであった。ああ、大事はついにきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あとで分った話によると、例のモーリ博士は月世界探検に行ったまま、遭難そうなんして帰れなくなっているということだ。こんどの探検隊が、きっと博士を救い出すであろう。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さっきは、同室内に乗合わせているノールウェー船(シンガポール沖で撃沈げきちんされた船)の乗組員にインタビューし、その神秘しんぴ遭難そうなん談を原稿にとった。いずれ明日までに整理のうえ、送稿する。
沈没男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「たいへんです。恐竜の洞窟の中で、みんなが遭難そうなんしてしまったんです」
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
遭難そうなんみだれず
氷河期の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)