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遠浅
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とおあさ
ふりがな文庫
“
遠浅
(
とおあさ
)” の例文
旧字:
遠淺
遠浅
(
とおあさ
)
の砂浜が多く、短距離を航海しながら船を陸に上げて宿をとり、話がつけば
暫
(
しば
)
らくの間、あがった
処
(
ところ
)
に滞在することもできた。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
沖はよく
和
(
な
)
ぎて
漣
(
さざなみ
)
の
皺
(
しわ
)
もなく島山の黒き影に囲まれてその
寂
(
しずか
)
なるは
深山
(
みやま
)
の湖水かとも思わるるばかり、足もとまで月影澄み
遠浅
(
とおあさ
)
の砂白く
水底
(
みなそこ
)
に光れり。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
けれども海の不可思議を一層
鮮
(
あざや
)
かに感じたのは
裸
(
はだか
)
になった父や
叔父
(
おじ
)
と
遠浅
(
とおあさ
)
の
渚
(
なぎさ
)
へ下りた時である。保吉は初め砂の上へ静かに寄せて来るさざ波を怖れた。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
波のしずかな
遠浅
(
とおあさ
)
の海に横になりながら、すぐそばの海ぞいの大きな町をみていたことであったといいます。
人魚のひいさま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そうして
遠浅
(
とおあさ
)
の
磯近
(
いそちか
)
くにわいわい騒いでいる
多人数
(
たにんず
)
の
間
(
あいだ
)
を通り抜けて、比較的広々した所へ来ると、二人とも泳ぎ出した。彼らの頭が小さく見えるまで沖の方へ向いて行った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
島のまん中は平地で、砂浜になって干潮の時は
遠浅
(
とおあさ
)
の洲に続きます。漁に出て休む時は、潮のかげんでそこに舟をよせたものです。それに古い井戸が一つありましたよ。……云々
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
碧水金砂
(
へきすいきんさ
)
、昼の
趣
(
おもむき
)
とは違って、
霊山
(
りょうぜん
)
ヶ
崎
(
さき
)
の
突端
(
とっぱな
)
と
小坪
(
こつぼ
)
の浜でおしまわした
遠浅
(
とおあさ
)
は、暗黒の色を帯び、伊豆の七島も見ゆるという
蒼海原
(
あおうなばら
)
は、ささ
濁
(
にごり
)
に
濁
(
にご
)
って、
果
(
はて
)
なくおっかぶさったように
堆
(
うずだか
)
い水面は
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝暗いうちから、
大太鼓
(
おおだいこ
)
の音がひびきわたり、
神輿
(
みこし
)
が、揃いの
祭着
(
まつりぎ
)
に甲斐々々しく身がためした若者たちによって、海岸の方へかつぎ出される。浜辺から、
遠浅
(
とおあさ
)
の沖の方へ、ぐんぐん、入って行く。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
この二つの島は、もとは熊本県の
八代
(
やつしろ
)
の沖にあった。ところがこの辺の海は
遠浅
(
とおあさ
)
でだんだんと埋め立てられて行くので、鼠蔵の方は
夙
(
はや
)
くから陸続きになった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この沿岸は
遠浅
(
とおあさ
)
のため、満潮時を待たねば船を寄せられず、潮が満ちて来たと思ったときは、すでに海岸線一帯の
防柵
(
ぼうさく
)
が、徳川北畠の
旌旗
(
せいき
)
をひるがえし、守備ぬかりなく見えたからである。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
浅
常用漢字
小4
部首:⽔
9画
“遠”で始まる語句
遠
遠方
遠慮
遠近
遠退
遠江
遠山
遠音
遠眼鏡
遠路