はづかしめ)” の例文
この一口話の事をば、われ唯だ一の例として、かくつぶさにはしるしゝなり。これより後も、日としてこれに似たるはづかしめかうむらざることなかりき。
忠之が出勤せぬ利章の邸へ、自分で押し掛けようとした怒には、嬖臣へいしん十太夫の受けたはづかしめに報いるために、福岡博多の町人をはふつた興奮が加はつてゐたのであつた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
なほも身を失ふに尋常の終を得ずして、極悪の重罪の者といへどもいまかつ如此かくのごとき虐刑のはづかしめを受けず、犬畜生の末までも箇様かようごうさらさざるに、天か、めいか、あるは応報か
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
公子こうしきうやぶるるや、召忽せうこつこれし、われ(一〇)幽囚いうしうせられてはづかしめく。鮑叔はうしゆくわれもつはぢしとさず。(一一)小節せうせつぢずして・功名こうめいの・天下てんかあらはれざるをづるをればなり
嗚呼、タルクヰニウス・コルラチニウスが妻なるルクレチア(はづかしめを受けて自殺す、事は羅馬王代の末、紀元前五百九年に在り)は今いづくにか在る。
しかし滞京中万一の事があつた時、先生と老中水野和泉守忠精たゞきよとの間を調停することの出来るものは、志村を除いては一人もない。わたくしはしや先生の怒に触れて破門のはづかしめ
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
我胸はをどれり。こは驚のためのみにはあらず、はづかしめのためなりき。我はをぢがもろ人の前に我を辱めたりとおもひき。