軍曹ぐんそう)” の例文
どうも、この、恋人の兄の軍曹ぐんそうとか伍長ごちょうとかいうものは、ファウストの昔から、色男にとって甚だ不吉な存在だという事になっている。
グッド・バイ (新字新仮名) / 太宰治(著)
が、中根なかね營庭えいていかがや眞晝まひる太陽たいやうまぶしさうに、相變あひかはらずひらべつたい、愚鈍ぐどんかほ軍曹ぐんそうはうけながらにやにやわらひをつづけてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なおこのワーテルローの戦争において、ひとりの軍曹ぐんそう予の生命を救いくれたり。その名をテナルディエという。
話は遠く日露戦争の昔にさかのぼりますが、河内園長が満州の野に出征しゅっせいして軍曹ぐんそうとなり、一分隊の兵を率いて例の沙河さか前線ぜんせん遼陽りょうようの戦いに奮戦ふんせんしたときのことです。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうか。そんならいいがね。ぼく、お前を軍曹ぐんそうにするよ。そのかわり少しはたらいてくれないかい」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
が、日頃ひごろいかつい軍曹ぐんそう感激かんげきなみださへかすかににぢんでゐるのをてとると、それになんとないあはれつぽさをかんじてつぎからつぎへと俯向うつむいてしまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その農家のうちだけで三千の兵士がほふられていた。イギリス一流の拳闘家で無敵と称せられていた近衛の一軍曹ぐんそうも、そこでフランスのある少年鼓手のために殺されていた。
わたしはまたなにかの小言こごとでもくのかとおもつて、軍曹ぐんそうはなしたにチヨツピリえた口髭くちひげながめてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
もう一時間もの間、びんの中にはいったはえのような騒ぎを、浮浪少年はその平和な一郭にもたらしていた。郊外兵の軍曹ぐんそうは耳を澄ましていた。彼は待っていた。用心深い男だった。
昔のワーテルローの軍曹ぐんそうである旅亭主テナルディエをさがした。