車輪しゃりん)” の例文
自転車屋じてんしゃやみせに、古自転車ふるじてんしゃが、幾台いくだいならべられてありました。タイヤはよごれて、車輪しゃりんがさびていました。一つ、一つに値段ねだんがついていました。
とびよ鳴け (新字新仮名) / 小川未明(著)
むこうの汽車はすぐ近くになりました。まっくろなすがた、けむりをはいてる煙突えんとつ、ぎらぎら光ってるヘッドライト……車輪しゃりんのひびきまできこえてきます。ぶつかったらさいごです。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
つづみを合図に、両軍それぞれの大兵が、鶴翼かくよく鳥雲ちょううん水流すいりゅう車輪しゃりん陰陽いんよう三十六変の陣形さまざまに描いてみせ、最後にはわあああっ……と双方起って乱軍となり、そこかしこで
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二人ふたりがその白い道を、かたをならべて行きますと、二人ふたりかげは、ちょうど四方にまどのあるへやの中の、二本のはしらかげのように、また二つの車輪しゃりんのように幾本いくほん幾本いくほんも四方へ出るのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこからは、自分じぶんおとけないほどの、ゴウゴウなりとどろく、汽罐きかんのうなりおとや、車輪しゃりんのまわるおとや、いろいろの蒸気機関じょうききかん活動かつどうするひびきをききました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふりむきもせずゆきすぎようとしましたから、かれふくろすなをつかむがはやいか、車輪しゃりんげかけました。
眠い町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうです。どこかでレールとすれって、一つの車輪しゃりんきずつけました。」と、汽罐車きかんしゃこたえました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしはどんなに、つかれているかしれません。毎日まいにち毎日まいにちとおみちはしらせられるのです。そして昨日きのうは、いままでにないおもをつけさせられていたので、一つの車輪しゃりんいためてしまいました。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)