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車代
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しやだい
渡す
人知りし
顏の
女中ならば
何とせん
詞がけられなば
何といはん
恥の
上塗りは
要なきことなり
車代といふも
知れたもの
受けずともよし
此まゝに
歸らんか
否是れ
欲しければこそ
雪の
夜を
今の
客人の
氣の
長さまだ
車代くれんともせず
何時まで
待たする
心にやさりとてまさかに
促りもされまじ
何としたものぞとさし
覗く
奧の
方廊下を
歩む
足音にも
面赫と
熱くなりて
我知らず
又蔭に
入る
思へば
待たるゝやうな
待たれぬやうな
萬一車代を