しが)” の例文
與吉よきちはそれでもくぼんだしがめて卯平うへいがまだこそつぱくてゆびさき下唇したくちびるくちなかむやうにしながら額越ひたひごしに卯平うへいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しがみ附く様に再び秀子の手を取った、然り再び秀子の手を取ったけれども、又思い出して、茲で若し約束を破り其が為に権田時介を怨ませて
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
みだれ姿の影黒みしがめる空をかけりゆかむ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
勘次かんじはおつたの姿すがたをちらりと垣根かきね入口いりぐちとき不快ふくわいしがめてらぬ容子ようすよそほひながら只管ひたすら蕎麥そばからちからそゝいだのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ハラハラとこぼして更にお浦の死骸にしがみ附き「誰に此の様な目に遭わされました、浦子さん、浦子さん、此のかたきは必ず高輪田長三が打ちますから」
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「そりや、はあ、さうだが」たゞこれだけいつて寡言むくち卯平うへい自分じぶんたといふやう始終しじうくぼんだしがめてからは煙管きせるはなさなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)