踉蹌よろ)” の例文
同僚吉田何某なにがしと共に近所へ酒を飲みに行つた帰途かえりみち、冬の日も暮れかゝる田甫路たんぼみちをぶら/\来ると、吉田は何故なぜか知らず、ややもすればの方へ踉蹌よろけて行く。
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
一同あきれて立つて居る中から、踉蹌よろけ乍ら出た老媼おふなは、手をかざして一分時程リツプの顔を見て居たが。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
相互さうご踉蹌よろけながらをどりともなんともつかぬ剽輕へうきん手足てあしうごかしやうをして、たくはへていた一年中ねんぢうわらひを一したかとおもほどこゑはなつてめどもなくどよめいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お前の阿母さんが背後うしろから不意に突こうとするのを、若旦那が気がいて急にけたもんだから、阿母さんは自分で踉蹌よろけて墜落おっこちたんだよ。究竟つまり、お前の阿母さんの方が悪いんだよ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かれ糜爛びらんした横頬よこほゝはもうほろびようとして薄明うすあかりにぼんやりとした。はげつそりとちてかれ姿すがたらうとした。かれけて踉蹌よろけながらた。さむかぜつめたいやいばびせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)