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踉蹌
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よろ
同僚吉田
何某と共に近所へ酒を飲みに行つた
帰途、冬の日も暮れかゝる
田甫路をぶら/\来ると、吉田は
何故か知らず、
動もすれば
田の方へ
踉蹌けて行く。
一同
呆れて立つて居る中から、
踉蹌け乍ら出た
老媼は、手を
翳して一分時程リツプの顔を見て居たが。
相互に
踉蹌けながら
踊とも
何ともつかぬ
剽輕な
手足の
動かしやうをして、
蓄へて
置いた一
年中の
笑を一
時に
吐き
出したかと
思ふ
程の
聲を
放つて
止めどもなくどよめいた。
お前の阿母さんが
背後から不意に突こうとするのを、若旦那が気が
注いて急に
避けたもんだから、阿母さんは自分で
踉蹌けて
墜落ちたんだよ。
究竟、お前の阿母さんの方が悪いんだよ。
彼の
糜爛した
横頬はもう
火の
氓びようとして
居る
薄明りにぼんやりとした。
火はげつそりと
落ちて
彼の
姿が
消え
入らうとした。
彼は
戸を
開けて
踉蹌けながら
出た。
寒い
風が
冷たい
刄を
浴びせた。