かい)” の例文
恭「おいらはあの草団子を喰いてえと思って叔母さんにおあしを貰ったからかいに来たら、日が暮れて夜はねえッてえから塩煎餅買って、先刻さっきから喰いながら此処に立ってたのよ」
「雨のびしょびしょ降る時には、油舐坊主あぶらなめぼうずだの、とうふかい小僧こぞうだのって……あるだろう。」
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
予が先生の新しい詩集「そよぐ麦」の特別ずりを買つた事を告げたら「其れは好かつた。もう一月前に品切と成つたのでこの某君などはかい遅れたさうだ」とかたはらの若い詩人を見て云はれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大原さんが半襟をおかいなすったのは生れてから始めてでしょう、どんな品を
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
それから変事が続きてすまいきれず、売物に出したのをある者がかいうけ、その土蔵を取払とりはらって家を建直たてなおしたのだが、いまだに時々不思議な事があるので、何代かわっても長く住む者が無いとの事である。
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
諫止かんしするようでもあり、奨励するようでもある。しかし若旦那として使用人の掣肘せいちゅうを受ける必要はないと思った。もう決心をして機会を待っていた。この相場はかいだという直観が動いたのである。
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「なにもかいやしませんよ」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あの——あとで、御前様が御旅行を遊ばしましたお留守中は、お邸にも御用がすくのうございますものですから、自分のかいもの、用達しだの、何のと申して、奥様におひまを頂いては
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
松茸売の去りし跡にて小山の妻君今かいし松茸を打眺うちなが
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かいですね?」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)