旧字:謠
謡について多少の知識をもつてるのは私だけだつたが——父が謡をやつてたので——私が誘つたわけではなかつたらう。
が、実は謡も習はず、能に関する智識などは全然持ち合はせてゐないのだから、当てにならないのは勿論である。しかし短い新氏の詞は確かに僕に戦慄を与へた。
ヴイオリンの音の起る頃には、謡をうたふ声も聞えて来た。それは崖の下に当つて三、四軒並んで立つてゐる一番端の家からで、高い樫の木立で囲まれた二階家である。華族だとか聞いた。
“謡”の意味
《名詞》
(うたい)能において、また舞囃子や仕舞などにおいて、詞章を節をつけて語ること。狂言(本狂言、ときに間狂言)の少数の演目にある、節をつけて語る部分も謡と呼ぶ。
(うたい)能の詞章を、実際に上演するときと同じように節をつけて語ること。謡曲。幸若など、能と似たうたい方をする場合にも用いる。
(出典:Wiktionary)
(出典:Wiktionary)
“謡”の解説
謡(うたい)とは能の声楽(言葉・台詞)にあたる部分のこと。また、それのみを謡うこともいう。大和田建樹によると、「うたう」という動詞の名詞形であるが、詠歌や小唄などと区別するため「うた」でなくて「うたい」と読ませたという。江戸時代までは「謡」とだけ言い、「謡曲」という言葉が使われ始めたのはそれ以降である。
(出典:Wikipedia)
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