をし)” の例文
「さう有仰おつしやつたら、私はどうして悔悟したらよろしいので御座いませう。荒尾さん、どうぞ助けると思召おぼしめしておをしへなすつて下さいまし」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかし敬が果して、茶山のをしへた如くに、蘭軒を視ること尊属に同じく、これに内事をはかつたかは疑はしい。少くも此の如き証跡は一も存してゐない。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕論語ろんごかうず、是れ慈父じふの子を教ふる意思いし孟子まうしを講ず、是れ伯兄のをしふる意思いし大學だいがくを講ず、あみかうに在る如し。中庸ちゆうようを講ず、くもしうを出づる如し。
ここを以ちてその父母、その人を知らむとおもひて、その女にをしへつらくは、「赤土はにを床の邊に散らし、卷子紡麻へそをを針にきて、その衣のすそに刺せ」とをしへき一一
外へ出ると朝から曇つてた空は寒いはげしい吹降ふきぶりに成つて居る。リユクサンブル公園の前まで歩いて馬車に乗つた。途中でヌエはユウゴオやサント・ブウブの住んで居た家家いへいへをしへてれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
けれども、なぜ、博士は、おして其不心得ををしへられなかつたのでせう。
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
この一話、操觚者流さうこしやりう寓意譚ぐういたんにあらず、永く西欧の史籍に載りて人の能く伝唱する所、唯これ一片の逸話に過ぎずといへども、しかも吾人にをしふる事甚だ深しとなす。れ貧困は現世の不幸のもつともなる者也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
ここに天皇、小碓の命に問ひたまはく、「何ぞ汝の兄久しくまゐ出來ざる。もしいまだをしへずありや」と問ひたまひしかば、答へて白さく、「既にねぎつ」とまをしたまひき。
「荒尾さん、こんなに思つて私は悔悟してをるのぢやございませんか、昔の宮だと思召してたのみに成つて下さいまし。どうぞ、荒尾さん、どうぞ、さあ、おをしへなすつて下さいまし」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
唯科學の公心あるをもて、預期せしところに反せし事實をも、言はで止むごときことなからむのみ。生物の最微なるを細菌とす。世界第一の細菌學者コツホはつねに其徒にをしへていはく。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
これに因りて泣き患へしかば、先だちて行でましし八十神の命もちてをしへたまはく、海鹽うしほを浴みて、風に當りて伏せとのりたまひき。かれ教のごとせしかば、が身悉にそこなはえつ
始てをしふるが如く言放ちて荒尾のかきのけ行かんとするを、彼は猶もすがりて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)